仏教。飲酒が間接的につくる罪。
仏教には在家者が守るべき5つの戒めがあります。
直接的に悪因をつくる行い
◎不殺生戒(ふせっしょうかい)、
◎不偸盗戒(ふちゅうとうかい)、
◎不邪婬戒(ふじゃいんかい)、
◎不妄語戒(ふもうごかい)、
間接的に悪因をつくる行い
◎不飲酒戒(ふおんじゅかい)の5つの五戒(ごかい)です。
この内の4つは、直接の悪因になる行いの戒めですが、残りの1つの不飲酒は、直接の悪因になる行いではなく間接的に悪因をつくる行いといわれています。
お釈迦様の弟子に日頃の行いも良く、人々に尊敬される品性品行に優れた人物です。
ある時に、その弟子は托鉢した食事の中にお酒と気付かずに食べてしまい酔った弟子は醜態を晒します。
お釈迦様はこのような様子を見て飲酒はどんなに日頃から品性品行に優れた者も醜態を晒して、悪因の原因をつくる行いであると説きました。
そして、飲酒によってどのような悪因がつくられていくか次のようなお話しがあります。
日頃から穏やかなある主人がいます。
主人は、お腹が空いて家の台所でつまみ食いをしますが、その味付けが濃く喉が渇いた主人は近くにあったお酒をお水と間違えて一気に飲み干します。
酒に酔った主人はまだお腹が空いています。
そこに隣から逃げてきた鶏をお腹が空いていたので盗み、殺して食べてしまいます。(殺生と偸盗です。)
さらに鶏の飼い主である隣の奥さんが怒って家の中に入ってくると、隣の奥さんをてごめにしてしまいます。(邪婬です。)
またさらに隣の奥さんの夫がそれを知って怒鳴り込んで来ましたが、罪をおかした主人は事実無根だと嘘をつきました。(妄語です。)
飲酒によって、人は理性を失い欲望を抑えることが出来ずに危険な醜態を晒して、悪因をつくる可能性が強くなるということです。
酒は飲んでも飲まれるなですね。
また、飲酒は体にとっても良くはありません。
適量なら酒は百薬の長 。とは聞きますが、お釈迦様は、料理に使う酒や薬膳酒だろうと、よほどのことが無いかぎり、お酒を口にすることは、良くないと説いています。